さまざまな日本語が氾濫する台湾。中でも最もポピュラーな日本語といえば、やはり「の」である。日本風なものが何かともてはやされる台湾で、「の」は商品や看板に手軽に日本っぽさを出すことができる文字として受けているようだ。一見単純だが、しかしそこは台湾、「の」一つ使うにしても日本人にはない発想で楽しませてくれる。台湾の街角で、「の」の用例を探した。
------------------------------
(1) 無難なもの
饒河街の胡椒餅
胡椒餅というのは、台湾の屋台などでおなじみの、肉まんの具みたいなものを包んだパンみたいなものというか、食べたことがないのでうまく説明できない。「饒河街」は地名だと考えれば、日本語として正しく読める。こういうのは日本で出しても問題なさそうだ。
盧媽媽の寝飾店
「盧媽媽」は人名と思われる(媽媽=ママ)。「寝飾店」という日本語はないけど、まあ寝具店のことでしょう。ギリギリセーフとしたい。
(2) 「○○の店」シリーズ
暁暁の店
人名っぽいものをつけて、「誰々の店」というパターンはかなり多い。上の「盧媽媽の寝飾店」もこちらのパターンに加えてもいいかもしれない。「暁暁の店」は服飾店のようだ。
秀秀の店
こちらはボディピアスの店。痛そうだ。
小元の店
日本語読みすると「証言の店」のようにも聞こえる。ちなみに左奥に写っているのは「日式拉麺(日本式ラーメン)」の店。いろんなところで日本が人気だ。
(3) 恋する「の」
足の戀
米の戀
「戀」は「恋」の繁体字。何だかよくわからないが、何かの恋。青春の1ページ、足に米に熱い想いを刻め。
(4) 微妙におかしい
梅の故郷
梅の故郷はなぜかゲーセンだった。このように、「の」を使ったフレーズ自体は間違いではなくても、脈絡がよくわからないものもある。
流行の物語
間違いと言い切れるほどではない。だけど、何だかしっくり来ない表現もある。ところで、「梅の故郷」も「流行の物語」も、漢字は書道風なのに「の」だけ国語の教科書の活字みたいになってるのが気になる。
プディングのいちごのミルク
「いちごミルクプディング」とか何とかでいいと思うんだが、余分な「の」を入れてしまった例。右上の「いちごは牛乳に會う時」にも注目。
(5) 明らかにおかしい
花枝の焼
日本語の「焼き」は「串焼き、たい焼き、お好み焼き」などのように、複合語で使うのがセオリーだ。ちなみに、「花枝」はイカのことであるらしい。つまり「イカ焼き」ではなく「イカの焼き」になってしまっているのだ。さらに上のほうには「日式和風料理」とくどい表現が多い。
娃娃の屋
「店」なら「○○の店」というパターンで使えるが、「屋」だとそうはいかない。「娃娃」は「人形」のこと。「ぬいぐるみ い,ばい」にも注目。
200の店 佐の味
このあたりになると意味がわからなくなってくる。なお、「200の店」というのは店舗数のことを言っているのではなさそうである。
カエルの二つ乳
上にある中国語を直訳したのだろうか、まったく意味がわからない。これは屋台の看板で、どんな商品を売っているのか確かめたかったが、準備中だった。
(6) そして日本語崩壊
田中家の
「の」がフレーズの最後に来てしまうと、もはや日本語として成立しない。「田中家の」は正確には「田中家の焼き立て CHEESE CAKE」なのだが、変なところで切ってしまっている。同じように変なところで切ってしまった例として「なテーブル」もどうぞ。
北海道 初乳の
やはり「の」で終わってしまった。「初乳の」って考えてみるとすごい終わり方だ。これはお土産に買って帰ろうかどうかで最後までホットケーもと迷った商品。箱には他にもさりげなく変な日本語(拡大図)と変な英語(拡大図)が書いてある。次に台湾に行ったらぜひ買って帰りたいと思う一品だ。
------------------------------
まとめ:
日本人が何気なく使っている「の」も、台湾ではいろんな使い方があるんだと思い知らされた。「の」が台湾中国語の一部になっているようで面白かったけど、どのくらいの台湾人がそれを読めているのかは疑問が残る。
何でも日本のものだと言ってみる
この後、日本に帰ってきてしばらくの間「の」の文字を見ると瞬間的に反応してしまうという後遺症に悩まされた。